米国上場への展望とIRの重要性〜Gateway GroupへのInterview〜

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本日は、Gateway Groupの新町スティーブン様に、企業が成長を目指して資金を調達するための手段についてお話をお伺いしたいと思います。Gateway Groupは、金融コミュニケーションとデジタルメディアのアドバイザリー業務において業界をリードする企業であり、未上場のスタートアップからNASDAQやNYSEに上場する企業に至るまで、さまざまな発展段階の企業に対して支援を行っています。

記事をお読みいただき、ご質問やお問い合わせがございましたら、Japan@gateway-grp.comまでお気軽にご連絡ください。

―これまで、日本の成長企業は主に東京証券取引所を上場先に選んできましたが、最近では米国資本市場への関心が高まっています。この変化の背景には、どのような理由があるのでしょうか。

日本企業にとって、長年にわたり東京証券取引所が主要な上場先でした。しかし、この上場プロセスは非常に厳しく、完了までに数年かかることも少なくありません。また、東京市場では流動性が低く、企業価値の評価が十分に行われない場合もあります。こうした課題に直面する中、より迅速かつ効率的な資金調達手段を求める企業が増えてきています。

プライベートエクイティも依然として選択肢の一つですが、最近注目すべきは米国資本市場です。特にNASDAQやNYSEは、上場プロセスが迅速であり、高いバリュエーションや流動性が期待できるため、上場に続く2回目以降の公募であるFollow-on Offeringや迅速な上場プロセスを通じて企業価値が高く評価される傾向があります。これが、米国資本市場に目を向ける日本企業が増えている理由です。

―しかし、米国の取引所には日本の取引所との相違点があると聞いています。この点について、もう少し詳しく教えていただけますか。

確かに、特にNASDAQやNYSEには、日本の取引所と比較して慣行上の違いがあります。この違いをしっかりと理解していないと、上場後のパフォーマンスに影響が出ることがあります。特に重要となる相違点は、IR、つまりインベスター・リレーションズの戦略です。米国資本市場では、IRが非常に重要視されており、企業が公開企業として成功するためには欠かせない要素です。

IRは、企業と投資家の間で透明性のある財務情報を開示し、企業の成長ストーリーやビジョンを効果的に伝える役割を果たします。さらに、IRは財務とコーポレートコミュニケーションを組み合わせた戦略的な機能として、企業と株主、投資コミュニティ、その他の主要なステークホルダーとの情報共有を効果的に推進する役割も担っています。

米国資本市場におけるIRの重要性とその具体的活動

―IRがこれほど重要視される理由は何でしょうか。

米国資本市場では、企業の財務状況や戦略に関する透明性のあるコミュニケーションが、投資家との信頼関係を築くために不可欠です。投資家は、企業の成長ポテンシャルを評価するために詳細な情報を必要とします。IRは、その情報を提供し、投資家が企業の価値を正確に理解し、公正な評価を行うための橋渡し役となります。特に、上場後のパフォーマンスにおいて、IRは企業の評価を維持し、さらなる成長を支えるために重要な役割を果たします。資本市場で成功するためには、投資コミュニティとの長期的な関係の構築と維持が不可欠であり、そのため上場企業にはIR活動を組み込んだ効果的なIRプログラムが求められます。

―具体的には、どのようなIR活動が行われるのでしょうか。

IR活動にはさまざまなものがありますが、その中でも企業が財務状況や事業戦略をより明確に開示する活動は、投資家との信頼関係をより強化します。また、企業が成長する過程で新たに資金調達が必要な場合、このようなIR活動を通じて既存の投資家や新規投資家に効果的にアピールすることになります。

日本企業が米国資本市場で成功するための重要ポイント

―日本企業が米国資本市場で成功するために特に気をつけるべきことや、投資家が上場準備会社を評価する際に重要視する点は何ですか。

いくつか重要なポイントがあります。
まず、1つ目は企業が利益を上げており、安定したキャッシュフローを確保していることが非常に重要です。現在の米国資本市場では、高金利が続いている影響もあり、投資家は成長性を重視する企業への投資をためらい、財務的に安定した企業に投資する傾向が強くなっています。そのため、企業の主要な事業活動において収益性と健全なキャッシュフローを確保することが、企業の安定性や成長性、リターンに対する投資家の懸念を和らげる上で非常に重要となります。

2つ目に、流暢な英語を話せるIRスタッフの存在が重要です。米国資本市場での成功には、言語の壁を越えて投資家とのコミュニケーションを円滑に行うことが不可欠です。特に、ロードショー、投資家とのミーティングや投資家向けカンファレンスでは、迅速かつ正確なコミュニケーションや質問への対応が求められます。

3つ目に、適切なアンダーライターの選定も重要な要素です。アンダーライターは、企業の上場プロセスをサポートするだけでなく、上場後の株価パフォーマンスにも大きな影響を与えます。Gateway Groupは、マイクロキャップおよびスモールキャップに特化した広いネットワークを通じて、企業のニーズに最適なアンダーライターを紹介します。

4つ目に、一貫した実行と実績による安定した財務実績が、企業の成長ストーリーを裏付ける重要な要素です。Gateway Groupは経営陣と協力して強固な財務基盤に裏打ちされたストーリーを作り上げ、競合他社とどのように差別化されているかを強調し、業界内での企業価値を提案します。

5つ目に、上場のタイミングが重要です。投資家から「なぜ今上場するのか」という質問を受けることになります。これに対して企業は、過去の財務安定性、拡張可能性、成長性、米国資本市場への事業拡大計画などを示し、米国株式市場への参入が最適な拡大策であることを戦略的に説明する必要があります。Gateway Groupは、企業の経営陣と協力して、これらの質問に対する説得力のある回答を作成し、財務実績を基に成長機会を提示することで、「今」が米国資本市場に参入する最適なタイミングであることを強調するサポートをします。

最後に6つ目として、デジタルプレゼンスの確立です。米国向けの企業ウェブサイトの開設やソーシャルメディアの活用は、米国内に事業を持たない日本企業でも、上場プロセスに入る前から企業情報を共有し、エクイティストーリーを広めるための重要な戦略となります。Gateway Groupは、投資家向け広報活動に加えて、広報活動、ウェブ開発、ソーシャルメディアの機能を提供し、日本企業が上場前に米国資本市場でのデジタルプレゼンスと企業ブランドの認知度を高める支援を行います。

―それは非常に興味深いですね。他に、日本企業が米国資本市場で成功するために知っておくべきことはありますか。

はい、日本企業に対してよく見受けられるのは、IRとPRの違いについての理解が不足していることです。両者はどちらも米国資本市場で企業の認知度を高めるために重要ですが、日本では、この二つの役割が混同されがちです。IRとPRは、異なる役割を持っています。

IRは、企業の財務および業績に関心を持つ既存及び将来の投資家やアナリストに対して、財務情報や戦略的施策を明確に伝えることを目的としています。規制面では、SEC規制および公平情報開示規則(Regulation FD)に従うことが求められます。資本市場での企業認知度、投資家の関与、アナリストのカバレッジ、財務情報の正確さがIRの成功を評価する基準となります。

一方、PRは、メディア、顧客、従業員、その他の主要な利害関係者など、より広範な対象に対して、企業のイメージやブランド価値、認知度を高めることを目的としています。規制は比較的緩やかで、一般的な法律に基づいた情報の伝達方法やルールに従います。成功の評価基準には、メディア報道の範囲、企業の認知度、ソーシャルメディアでの活動、及び全体的な評判が含まれます。

IRは企業が資本市場で適切に評価され、投資家からの支持を得るために不可欠な要素であり、PRは企業全体のイメージを向上させるための活動です。両者の違いを理解し、それぞれの役割を適切に活用することが、企業の成功に繋がります。

上場後のIR戦略が企業評価と成長を支える鍵

―上場後のIRが企業の評価を維持し、さらなる成長を支えるために重要な鍵だとお伺いしましたが、上場後のIR活動についてもう少し詳しく教えてください。

企業は、上場した後IRの重要性をより一層実感することになります。上場後のIRは、企業が市場で適切に評価され続けるために欠かせないものです。成功するIR活動は、プレスリリースの作成や幅広い情報発信、決算発表の支援といった基本的な活動だけではありません。IRは、米国資本市場での成功をサポートするために日々の戦略的なアドバイスを提供することによって、企業のビジネスに深く関わっています。

また、IR活動は、投資家やアナリストとの関係を維持・強化するための重要な手段でもあります。企業の成長を支え、投資家からの信頼を得るためには、IR活動を通じて効果的なコミュニケーションを図ることが不可欠となるからです。既存の株主やアナリストとの関係を維持するだけでなく、投資家会議を通じて潜在的な投資家やアナリストとの新たな関係を構築することも重要です。これにより、企業のビジネスチャンスをアピールし、企業知名度を向上させ、機関投資家の株式保有率を高めることができます。

そのため、包括的なIRプログラムがなければ、企業は正確な評価を得るのに苦労し、米国の投資コミュニティや株式市場で認知度を得ることが難しくなります。

Gateway Groupは、25年以上の経験を持ち、企業の成長ストーリーやビジョンを投資家に効果的に伝え、信頼を得るための戦略的なコンサルティング業務を提供することにより、企業が米国資本市場で成功するために支援を行っています。

おわりに

―最後に、Gateway Groupのサービスについてもう少し詳しく教えてください。

Gateway Groupは、金融コミュニケーションとデジタルメディアアドバイザリーのリーディングカンパニーとして、未上場の新興企業からNASDAQやNYSEに上場している公開企業まで、企業の発展段階に応じた支援を行っています。最近では、米国資本市場への上場を目指す日本企業を指導・支援し、上場プロセスを通じて戦略的なパートナーとしての役割を果たす機会が増え、日本市場にも業務を拡大しています。この過程で、資本市場で成功するためには、いくつかの主要な課題を克服する必要があることがわかりました。

私たちの目標は、企業が投資家やその他のステークホルダーとの情報の流れを効果的に管理し、一貫した企業メッセージを発信できるよう支援することです。特に、米国資本市場での上場を検討している企業には、タイミングや市場状況を見極めるためのインサイトを提供し、上場プロセス全体を通じて戦略的なサポートを行います。さらに、上場後の企業が市場で成功するために継続的なIRプログラムの支援も行っています。


記事をお読みいただき、ご質問やお問い合わせがございましたら、Japan@gateway-grp.comまでお気軽にご連絡ください。

また、弊社では日系企業のNasdaq上場のサポートをさせていただいております。記事をお読みいただき、もっと詳しく話を聞きたいという方は、お気軽に弊社までご連絡ください。我々は、未来を見据えて今を走る皆様のお話をお伺いできることを楽しみにしております。またお伺いした中でサポートできることを提供いたします。弊社へのお問い合わせは、お気軽にこちら(CONTACT)からご連絡ください。

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