米国証券取引委員会(SEC)によるRegulation S-Kの改定案の公表
Summarized to the Bits
- 米国SECによりRegulation S-Kの改定案が公表された。今回のRegulation S-Kの改定は細かな改定が多いが、当規定公表後30年数年来もっとも広範な改定となる。
- 最も実務的な影響が大きいと思われるのが、Management’s Discussion and Analysis(MD&A)の開示規定に関する改定で、比較対象期間が短くなる一方、より開示内容の充実が求められると想定される。
米国証券取引委員会(SEC)は、2017年10月11日、Regulation S-Kの近代化および簡素化に関する改定案(FAST Act Modernization and Simplification of Regulation S-K)を公表しました。
Regulation S-KはSECに提出される書類の非財務情報の開示規則を定めている規則で、日本企業でもSECに登録し、Form 20-Fを提出しているような場合には影響がある改定です。
今回のRegulation S-Kの改定は、個別に大きな影響がある改定はありませんが、改定項目が約30に及ぶため網羅的に改定を理解、把握することが必要になります。
重要な変更点
改定のなかで一番影響が大きいと考えられるのは、Management’s Discussion and Analysis(MD&A)の開示規定に関する改定です。
Management’s Discussion and Analysis (MD&A)に関しては、これまでは財務諸表の損益計算書と同じ3期分の変動に関して経営者が財務・ 経営成績の分析を行うことが求められていましたが、改定後は一定の要件を満たせば直近2期の比較をすれば良いとされています。
これは開示要件としては緩くなったようにも受け取れますが、過去に分析を行っていたからという理由でManagement’s Discussion and Analysis(MD&A)の読み手にとってあまり有用ではない分析を継続することを禁止し、直近の財務・ 経営成績を理解するために最も重要な要因に絞って厚みのある分析を行うことを求めていると読み取ることができます。
したがって日系のSEC登録企業においても、Management’s Discussion and Analysis(MD&A)の分析を行う際には、過去からの継続性や比較可能性を重視して、従来と同じ切り口の分析を行うのではなく、毎期毎期その時の情勢に合わせて、最も適切な切り口、項目を用いて財務・ 経営成績の分析を行うことが求められることになると考えられるため、Management’s Discussion and Analysis(MD&A)の作成にこれまで以上に時間やコストがかかる可能性があります。
その他の変更点
他には主要資産の所在地情報(Description of property)や、リスク要因(Risk factors)等の項目においても開示の簡素化を図り、企業固有の状況に応じた本質的な開示を行うことを奨励する改定が提案されています。
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