新年のご挨拶

あけましておめでとうございます。

昨年は米国のSPACブームを背景に、当社にも多くのお問い合わせを頂戴しました。
しかしながら、残念なことにその殆どのクライアントにおいて、米国上場に必要な監査人の選任ができず、米国上場プロジェクトを始めることが出来ませんでした。

EYが発行した2021年のGlobal IPO Trends report “Are your growth strategies resilient enough for the future?” によると、2021年(正確には2021年12月7日までの実績と、それ以降12月末までの着地見込み)の米国におけるIPO(SPACを除く)は、416社となり、合計$155.7 billion、約18兆円の資金調達が行われました。1社あたり約430億円です。
一方我が国の状況はと言うと、IPO件数こそ128社と、上場数は活況だったのですが、調達額の合計は$6.8 billion(約7800億円)、1社あたり約60億円と1/7の水準にとどまっています。

アメリカが巨大すぎるだけなのかと思いがちですが、昨年はインドネシアで1社あたり約100億円、タイで約120億円、シンガポールで約170億円、フィリピンで約460億円、香港で約510億円、中国で約190億円、韓国で約230億円となっており、近隣アジア諸国と比べてもかなり見劣りする状況です。アメリカの資本市場が巨大であることは間違いないですが、それにしても日本の新興資本市場が脆弱すぎると言って過言ではありません。

日本のスタートアップは、このような環境の中で、海外競合他社と競争することを強いられています。まるで竹槍でB29と戦うようなもので、このような資本調達環境からは次世代の日本の礎となる産業を育成することは困難です。スタートアップの当事者たちはそのことを良く分かっているので、海外の資本市場へのアクセスを模索しています。しかしながら、多くの場合、監査人の選任という障害にぶつかり、イノベーションに本当に必要なバックアップを得ることが出来ずにいます。

スタートアップは失敗することを恐れず、リスクを積極的に取って成長を目指します。それを支援、育成すべき立場の会計士がリスクを恐れ、経世済民の志を失っていないか。それを問い続ける新年としたいと思います。

本年も引き続きよろしくお願いいたします。

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